五年間住んた街から、新しい街へ引っ越してきた。借りた部屋で本を並べているうちに、その時に買った本だとか、読んだものがいろいろと出てきた。

上京して一人暮らしをはじめたときに何の気なしに買った谷川俊太郎著の「ひとり暮らし」を本棚から手に取った。

エッセイなんてその日そのまま、格好つけず、ありのままの体でいいのだと思うとなんだか落ち着いた。

誰が読んでいるかもわからない、誰も読んでいないものかもしれないものをつらつらと、不遜にもネット上で晒しているのもどうかと思う。考えすぎるとますます億劫になり、結局何も書かない事が賢明に思える。

浮かんだ考えや思いも、言葉や絵にするとみるみるうちに、その花が萎えていく。夢の世界みたいに。

そんな自分の思いに関係なく、窓の向かいの景色は青すぎる空に蝉や風鈴の音がする。五年ぶりの夏がきたような、そんな気がした。